みなさんこんにちは、はこねです。
先日9/25に参加したきみメモ2で久々に新刊を出しました。せっかくなので、本の紹介と、本が生まれた背景について語ろうと思います。
※フットバ11で頒布する新刊の内容を含みます。多少のネタバレ注意。
新刊の概要
タイトル
『搾取er協会~しいらの大舞台~』
今まで合同誌に寄稿したことは何度かありましたが、小説本として単独で出したのは初めてです。
搾取er協会というのは結末にかかわってくる、とだけ言っておきます。
はじめは「しいらの大仕事」という副題だったのですが、大舞台のほうがかっこいいという理由で変えました。いうほど大舞台か?と今になって思っていますが。
外観
初めての小説本ですが、文庫本でやってみました。
お店で売ってる小説っぽくしました。ISDNにも登録。
ストーリー
物語は、他のでんこたちとうまく馴染めない主人公・しいらがマスターのある悩みを解決しようとするところから始まります。
奪取er協会はでんこにより多くのメモリーを集めることを求め、その手段としてでんこのアップデート(性能強化)を計画します。
でんこたちは、アップグレードを受け入れ協会に従うでんこと、反発するでんこ真っ二つに分かれ、睨み合います。しいらを含む数人のでんこはどちらの言い分にも納得できず悶々とします。
でんこたちの対立を何とか止めようとしいらはある行動に出て、それが他のでんこたちを驚かせます。しいらはその行動の過程でアップデートに関する驚きの事実を知り、そこから奪取er協会が企んだ闇の計画が明らかになっていきます……
この一連の騒動を通じて、気弱だったしいらは、自分の思いをはっきりと伝える、たくましい姿を見せるようになります。
その他
ストーリーの本筋とはあまり関係ないですが、次のような小ネタもはさんであります。
- いちチコが少し出てきます。
- なるちゃんは相変わらず*1ひどい目にあってます(ひどい)
- しいらちゃんとしぐれちゃんがカラオケに行く場面はウィンターコーラスの続きを意識しています。
しいら推しでない方も是非。
本書で扱った駅メモの設定
ストーリーの詳細は拙著を読んでいただければと思いますが、この記事では本書の題材になった駅メモの設定について語ろうと思います。
でんこのアップデート
でんこのアップデートをSSの題材にしようと思ったきっかけは、4年前にでんこが属性が設定されたときに遡ります。
その時、駅メモ!公式はこんなことを言っています。
…
それによると駅には人々の思い出などに影響を受けて変化する特性のようなものがあるらしく、その特性にマッチするとこれまでよりも効率よく思い出を集めることができるようです。
そこで、奪取er協会はでんこたちに対して補助プログラムを搭載したアップデートを実施してこれまで以上にたくさんの思い出を集められるようにするとのことです。
引用元:
でんこの属性について | 駅メモ!公式ブログ
当時、(ゲーム上の)属性そのものは賛否が分かれましたね。それはさておき、私は
でんこたちに補助プログラム、ということは、でんこの脳内を書き換えることになるのかな? でんこは抵抗しないのだろうか
協会がでんこを利用して多くの思い出を集めるって、なんだかでんこを道具としてみているみたい…
という想像が湧いてきたのです。このころから、アップデートを題材としたストーリーを作ってみたいと考えるようになりました。
でんこは感情を持つのか?
でんこは感情や理性、意志を持つのか?という議論は駅メモ創作界隈で(多分)盛んにおこなわれています。
- でんこは人間と全く同じ頭と心を持つ
- でんこは人間と同じように喋るが、それはすべてプログラムされているからで、でんこ自体に医師や感情はない
- でんこは感情をもつが、意志は弱くマスターを頼りにし、逆らおうとしない
など、いろいろな説や意見があると思います。ちなみに私は一番上の説を強く主張しています。というか願望ですね。
とはいえ、SSを書く上では自分の主張とは別の設定で書くこともあります。
『搾取er協会』では、いきなりでんこの設定について問題提起することから始まります。
独立思考型駅情報収集ヒューマノイド・DENCO(H)、すなわちでんこは、人間と同じように喋る。彼女らは、人間と同じように考えるのだろうか。もちろん、人間と全く同じような脳の構造をして、同じような考えと感情を持つかもしれないが、もしかしたら人間と同じように喋っているだけで、頭の中は空っぽかもしれない。
そして、第2章で、しいらちゃん達はでんこのために作れられた図書館の異変に気付きます。
二人で、社会の教科書の場所を探した。しかし、検索端末を調べても、図書館内を探しまわっても、見つからない。
「なんでだろう、教科書ぐらいあってもいいのに。難しい本しかないね」
でんこの図書館には、なんとでんこが教養を深めるための本が全然ないのです。それには協会がでんこに賢くなってほしくない、というしたたかな意図があったのです。これは、協会が推し進めるアップデートに深く関わってきます。
しかし、しいらを含む数人のでんこたちは次々と人間サイズになって世の中を知ります。その中で「ただメモリー集めをするだけではつまらない。もっとマスターと楽しい時間を過ごしたい」と感じ、協会の言うことを鵜呑みにせず、反発するようになります。
そして、人間の図書館での勉強の効果もあって、でんこのアップデートは人権侵害ではないかと感じるようになるのです。
奪取er協会
奪取er協会を頑張って運営、もしくは応援している方には大変申し訳ないのですが、どうしても組織というものをみると、
といったストーリーを描きたくなってしまうものです。巷では協会が悪の組織と戦っているストーリーが話題ですが、自分は協会そのものが悪の組織でないかという視点でこれからもストーリーを練っていきたいですw
おわりに
だいぶまとまりのない記事になってしまいましたが、新刊の紹介と、自分なりの駅メモの世界の解釈が伝われば嬉しいです。他のSS書きの方が駅メモの世界をどういう風に膨らませているかも知りたいところです。
フットバ11でも新刊扱いでこの本をだす予定です。ぜひ遊びに来てください。